現代自動車偽装請負争議で「2年以上、現代自動車社内協力業者で勤務した労働者は、正規職雇用と見なせ」という司法判断が2010年7月22日に大法院で下され、本日、この大法院判決が確認される差し戻し審の司法判断が下されました。非正規争議で闘う当事者としては大変勇気づけられる司法判断ですが、必ずしも全面勝利と言える判決ではない側面もあると思います。現代自動車偽装請負事件大法院判決の問題点は『暗黙的勤労契約関係』(日本でいう『黙示の労働契約』)を認めていない点と2年たたない労働者は正規職と見なさないという司法判断をしたところにあります。(韓国では2年以上働いた派遣労働者は派遣先に直接雇用されたとみなされる直接雇用のみなし規定制度があった)この司法判断は労働者派遣法で解釈をしたものです。
労働者派遣法を巡っては、韓国と日本はお互い連絡を取り合い、日本の改悪された労働者派遣法が韓国で立法化されていっている現状があります。今回、2010年7月22日に大法院で下された判決は勝利判決した当事者が働いていた当時『みなし規定制度』があったから救済されましたが、この『みなし規定制度』も既に廃止され、『直接雇用義務』に格下げされたと聞いています。(直接雇用であれば、期間の定めがあろうがなかろうが構わないというものである)やはり、労働者派遣法は労働者にとっては悪法であり、撤廃すべきだと思います。
今、私は法的な話ばかりしていますが、しかしながら、このような法的な話よりもっと大切なことは現場で闘うことだという当たり前のことを、現代自動車非正規職撤廃争議で闘う皆さんにさらに教えられています。
『非正規職を正規職にしろ!』という闘いは7月22日の現代自動車偽装請負事件の大法院判決以後、韓国国内で活発に行われているというニュースは日本にも入ってきています。
韓国国内では金属労組を始めとした多くの労働組合が非正規雇用を巡る闘いを活発に行っていますが、こうした闘争がある中で、8月19日には韓国国内の人権問題救済機関である『国家人権委員会』で「派遣勤労者の賃金支給において、同一または類似の業務を担当する正規職と差別することは差別である」という判断が下されましたし、8月26日にはソウル中央地法民事合議41部(チェ・スンウク部長判事)で、コレイル (鉄道公社)子会社の鉄道流通を解雇されたKTX乗務員の実質的な使用者は鉄道公社だという司法判断が下されていますが、この事件の司法判断は現代自動車偽装請負事件大法院判決でクリアできなかった『暗黙的勤労契約関係』を認めさせるところまでに至っています。(暗黙的勤労契約関係は不法に働かせた当初から元の正しい雇用契約に戻すべきという考えであり、現代自動車偽装請負争議で言えば、2年未満不法派遣で働かされた当事者も救われることになるのである)
こうした結論を次々と司法に出させているのは、韓国国内で起こっている非正規雇用争議で闘う当事者の皆さんの『人間の尊厳』をかけた一つ一つの闘争が、『非正規雇用を巡る問題については人権問題として判断をすべき問題である』という方向に司法を動かしているからだと思います。
私の国『日本』では「違法な労働契約でも有効」という司法判断をパナソニックPDP偽装請負事件で司法の最高機関である最高裁判所が下していますが、最高裁が違法行為を行っている派遣先企業・パナソニックを免罪した影響で、下級審が次々と法違反を行っている派遣先企業の罪を問わない司法判断を下しているケースが相次いでいます。
日本の司法は「違法な派遣契約でも有効であり、罰則規定もないので罪は問いません」とか「労働者派遣法違反でも公序良俗違反ではなく、大した問題ではない」とか、極めつけは「暴力支配」「賃金のピンハネ」「強制労働」を排除することを目的に定められた法律(職業安定法)に違反しても、「精神的苦痛を生じているわけでもない」と非常識な解釈を一方的に下し、非正規労働者の人間の尊厳を踏みにじっています。
労働者の人権というものを蔑ろにしたパナソニックPDP事件最高裁判決を乗り越える司法判断を出させるには、韓国の労働運動の事例を見てもわかる通り、あきらめずに徹底的に闘っていくということが大切だということを私は日本の非正規雇用問題で闘っている仲間に報告しようと思っておりますし、今後、私自身、不当な最高裁判決を乗り越えていくために様々な取り組みを行い、職場に戻るまで徹底的に闘っていきます。
今後とも現代自動車の非正規職撤廃争議で闘う皆さんと共に『労働者派遣法撤廃』『非正規職撤廃』と連帯して闘っていく決意です。
2011年2月10日
パナソニックPDP偽装請負事件
争議当該 吉岡 力
